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2022.06.28

構造計算と壁量計算の違い

 

タイトルー構造計算と壁量計算の違いとは

こんにちは。アップルホームテクノストラクチャーです。今回は構造計算と壁量計算の違いについてを簡単に説明させていただきます。
構造計算と壁量計算は地震に対する強さを示す為に行う計算方法で、耐震等級で表せます。どちらの計算方法も耐震等級の1~3で強さを示すのですが、実は同じ耐震等級でも両者には違いがあり結果からお伝えすると、構造計算(許容応力度計算)の方が強くなります。
では、何故違いがあるのかについて詳しく解説していきますが・・・
その前に、細かい事は気にせずに強ければ良いという方は迷わず構造計算(許容応力度計算)による耐震等級3の家を選ぶことをお勧めします。
それでは、壁量計算と構造計算の違いを知るのに必要な基礎知識から学んでいきましょう。

① 耐震とは

耐震とは、文字通り地震の揺れに耐えられるよう建物の構造等を補強したもの。建物の地震に対する強度を向上させることで、地震による破壊や損傷を防ぐ事を意味します。 具体的には、建物の部材(柱、梁、スジカイ、耐力面材、構造接合部、構造金物)の強度や数量を増やし建物を固めることで耐震性を高めます。 耐震の他に制振や免震、また耐震+制振という組み合わせもありますが、それらについてはまた次回解説させていただきます。

② 耐力壁とは

耐力壁とは、地震や風などの水平荷重(横からの力)に抵抗する能力をもつ壁のことを示します。そうではない壁(構造的に固定されていない壁)は非耐力壁と呼びます。また、木造建築物においては、耐力壁に似ていますが、固定方法が不完全で抵抗力の低い壁(間仕切壁など)を準耐力壁と呼びます。 木造住宅の一般的な耐力壁は、91センチ間隔(間隔は建築会社、建築方法によって異なります)の柱と柱の間に耐力となる部材を構成した壁が耐力壁となり、構成する部材や間隔によって強度も異なります。

 

■耐力壁の種類は大きく分けて2種類。筋かいと耐力面材

筋かいとは?

筋かいとは、柱と柱の間に1本の筋かいという木材を片方の柱の柱脚から一方の柱の柱頭へ、斜めに材をわたしたタイプを片筋かい、2本のスジカイをX状にたすき掛けたダブル筋かいとがあります。一般的に筋かいは4.5cm×9.0cmの木材を使用されることが多いようです。

筋かいのメリットとデメリット

筋かいのメリットは、古くからある補強方法で、大工さんも慣れ親しんだ施工になりますから比較的に施工性が良く、コストも抑えられることから、建物の内周部にはもっとも適した方法となります。筋かいのデメリットは、主に外周部で使用する場合において断熱材の施工性と相性が悪いことです。筋かい自体に厚みがあるので筋かい部分は断熱性が落ちてしまう事と、ダブル筋かいの場合は断熱材を充填させる事がとても困難なのと片筋かいよりも更に断熱性が落ちてしまいます。また、外周部の筋かいは地震時の揺れに対し筋かいの接合部に力が集中し、破壊されやすい事から繰り返しの地震に対し弱いことが挙げられます。

耐力面材とは

耐力面材とは柱と柱、梁と土台の間に面材を張り合わせ、その際に一定の間隔で柱、梁、土台に面材からJIS認定された釘を打ち、面で横揺れを支える方法です。また大臣認定の耐力壁では使用する釘と間隔と面材が細かく指定されています。

耐力面材のメリットとデメリット

耐力面材のメリットは、地震が起きた時に掛かる揺れる力を面材が分散してくれるので、構造軸の損傷を抑えてくれます。また、外周部に用いいますと断熱材との相性も良く、壁内の空間もしっかり確保出来て均一に断熱も施せますし、外周部をくまなく覆うことで気密性能も良くなります。 耐力面材のデメリットは、内周部には不向きということ、面材、釘、間隔の三種の神器で性能が発揮されることから、釘がめり込まないように打ち込む施工の注意と手間が掛かる。また筋かいと比較して高価なのと、建物の重量も増えます。

 

③ 壁倍率

壁倍率とは、建築基準法で定められた耐力壁の強度をあらわす数値のこと。木材のサイズや筋かいの有無、耐力面材の種類によって、0.5~5.0倍の幅で設定されています。また筋交いと構造用面材を併用した場合やダブル筋かいは、壁倍率を合計することができます。ただし、この壁倍率の上限は5.0倍とされています。

       

壁倍率一覧(木造軸組工法)
片筋かい 2倍
ノボパン 2.9倍
ハイベストウッド 2倍

例)筋交いを、たすき掛けした場合、壁倍率は2倍です。
・9.0cm×9.0cmの木材(たすき掛け) 壁倍率2.0×2⇒4.0

④ 直下率

直下率とは、柱、壁、耐力壁が1階と2階の上下同じ位置にどの程度の割合で揃って配置されているかを示す割合です。

直下率には次の2種類があります。

●柱の直下率:1階と2階上下で柱の位置が一致する割合
●壁の直下率:1階と2階上下で耐力壁の位置が一致する割合

建築基準法では、直下率については明確な基準は一切定められていないのと、耐震等級の計算についても一定の直下率を確保する必要もありません。

以前は関心の低かった直下率ですが、重要視されるようになったのは、熊本地震で耐震等級2で建てた住宅も倒壊しており、直下率の不足が原因のひとつと考えられるといった専門家による見解と、「NHKスペシャルあなたの家が危ない~熊本地震からの警告~」という放送等、最新の耐震性能でも直下率不足の影響が建物倒壊に導く可能性があるとの指摘が広まった事で、重要視されるようになりました。

では、どの程度の直下率があれば適正なのかというと、壁の直下率も柱の直下率も共に、50%以上といわれております。100%にできれば最も良いという事になりますが、1階と2階の壁も柱も全く同じ位置に配置となれば1階2階が全く同じ間取りとなるので、言わずもがなかと。現実的にはどれだけ100%に近づけられるのか検討していきましょうといった具合です。とは言っても最近では、大開口、大スパンの広いリビングや吹き抜け、勾配天井、ビルトインガレージなど、快適性やデザイン性を重視されて計画をご依頼される方もいらっしゃいます。間取りの自由度を追求するということは、直下率が低下することになります。ではどうしたら良いのか⁉それはご希望を追求したプランが科学的に強さを証明することが出来れば安心出来るものと考えられます。

柱の直下率の計算方法

●柱の直下率=1階と2階の上下で柱の位置が一致する数÷2階の柱の数

壁の直下率の計算方法

●壁の直下率=1階と2階の上下で耐力壁の位置が一致する長さ÷2階の耐力壁の長さ

 

⑤ 地震係数

地震係数とは各地域毎に設定された係数で、地震力の算定に必要となる係数をいいます。
地震地域係数は、建築基準法施行令第 88 条第 1 項に「その地方における過去の地震の記録に基づく震 害の程度及び地震活動の状況その他地震の性状に応じて 1.0 から 0.7 までの範囲内において国土交通大 臣が定める数値」と規定され、具体的には国土交通省告示により定められています。

【地域別地震係数(国土交通省告示1793号)】

その地方における過去の地震の記録に基づく震害の程度及び地震活動の状況その他地震の性状に応じて国土交通大臣が、1.0~0.7までの範囲内で定めた各地域の地震係数(Z)は下記数値となります。

                                                                            

区分 都道府県 市町村 地震係数
1区分 2区分~4区分に含まれていない地域 1.0
  北海道 札幌市 函館市 小樽市 室蘭市 北見市 夕張市
岩見沢市 網走市 苫小牧市 美唄市 芦別市 江別市
赤平市 三笠市 千歳市 滝川市 砂川市 歌志内市
深川市 富良野市 登別市 恵庭市 伊達市 札幌郡
石狩郡 厚田郡 浜益郡 松前郡 上磯郡
亀田郡 茅部郡 山越郡 檜山郡 爾志郡 久遠郡
奥尻郡 瀬棚郡 島牧郡 寿都郡 磯谷郡 虻田郡
岩内郡 古宇郡 積丹郡 古平郡 余市郡 空知郡
夕張郡 樺戸郡 雨竜郡 上川郡(上川支庁)のうち東神楽町
上川町、東川町及び美瑛町 勇払郡 網走郡 斜里郡
常呂郡 有珠郡 白老郡 
0.9
青森県 青森市 弘前市 黒石市 五所川原市 むつ市 東津軽郡 西津軽郡
中津軽郡 南津軽郡 北津軽郡 下北郡
秋田県  
山形県  
福島県 会津若松市 郡山市 白河市 須賀川市 喜多方市 岩瀬郡 南会津郡
北会津郡 耶麻郡 河沼郡 大沼郡 西白河郡
新潟県  
富山県 魚津市 滑川市 黒部市 下新川郡
石川県 輪島市 珠洲市 鳳至郡 珠洲郡
鳥取県 米子市 倉吉市 境港市 東伯郡 西伯郡 日野郡
島根県  
岡山県  
広島県  
徳島県 美馬郡 三好郡
香川県 高松市 丸亀市 坂出市 善通寺市 観音寺市 小豆郡 香川郡
綾歌郡 仲多度郡 三豊郡
愛媛県  
高知県  
熊本県 3区分に掲げる市及び郡を除く。
大分県 3区分に掲げる市及び郡を除く。
宮崎県  
3区分 北海道 旭川市 留萌市 椎内市 紋別市 士別市 名寄市
上川郡(上川支庁)のうち鷹栖町、当麻町、比布町、愛別町、和寒町
剣淵町、朝日町、風連町及び下川町 中川郡(上川支庁) 増毛郡
留萌郡 苫前郡 天塩郡 宗谷郡 枝幸郡 礼文郡 利尻郡 紋別郡
0.8
山口県  
福岡県  
佐賀県  
長崎県  
熊本県 八代市 荒尾市 水俣市 玉名市 本渡市 山鹿市 牛深市 宇土市
飽託郡 宇土郡 玉名郡 鹿本郡 葦北郡 天草郡
大分県 中津市 日田市 豊後高田市 杵築市 宇佐市 西国東郡 東国東郡 速見郡
下毛郡 宇佐郡
鹿児島県 (名瀬市及び大島郡を除く)
4区分 沖縄県   0.7

※埼玉県は1区分に属します。

⑥ 耐震等級

耐震等級とは、「住宅と品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づいて、地震に対する建物の強度を示す指標のひとつで、一般の消費者にも性能の比較ができるよう3段階で表し、その数字が大きければ大きいほど、耐震性が高いと判断できるようにしたものです。
強さ=倒壊、崩壊のしにくさということになります。       

耐震等級の区分
耐震等級1 きわめてまれに発生する大地震による力に対して倒壊、崩壊しない程度
耐震等級2 耐震等級1の1.25倍の耐震強度
耐震等級3 耐震等級1の1.5倍の耐震強度

耐震等級1は、建築基準法に定められている最低限の耐震基準強度。
震度5程度の、数十年に一度の頻度で発生する地震に際しては、建物の損傷防止に効果があるとされています。また、きわめてまれに発生する数百年に一度起こる大地震に耐えうる強度ということです。 「きわめてまれに発生する大地震」とは、数百年に1回程度の頻度で発生する大規模地震のことで震度6強~7を想定しています。

ここまでをみていても、強さの指標が3段階あって耐震等級3が一番強いって事くらいしかわからないですよね、要は建築基準法さえ守っていれば、数百年に一回程度の頻度で発生する大地震に対し、損傷はするけれど倒壊も崩壊もしないし、1回は耐えるので地震がおさまったら直ぐに避難してくださいね。って事なのかと私は思っています。
耐震等1の建物で、一度は大きな地震に損傷しながらも耐えて、その後は家が損傷している訳ですから、耐震等級1の強さにも満たない家になってしまっているということです。つまりは、次の大きな地震に備えて、損傷箇所を完全修復しないと次の大地震には耐えられなくなってしまう事もあり得るわけで、住み続けることも出来ない、という事も有り得るでしょう。そのリスクを踏まえた上で耐震等級については自己判断で検討してくださいね、という事なのかと。
実際に、熊本地震では震度7の「きわめて稀に発生する大地震」が立て続けに起きて、2度めの震度7の地震で倒壊、崩壊したケースが多くあったようです。
この熊本地震では耐震3の住宅は倒壊数は0でしたが、残念なことに耐震等級1と2の建物は倒壊してしまったケースがあったようです。

極めて稀に発生する大地震って具体的に、実際に起きた最近の地震で言うと以下参考に。

                                                                

名称 発生年月日 震度
阪神淡路大震災 1995年1月17日
鳥取県西部地震 2000年10月6日 6強
宮城県北部地震 2003年7月26日 6強
新潟県中越地震 2004年10月23日 17時56分
2004年10月23日 18時11分 6強
2004年10月23日 18時34分 6強
能登半島地震 2007年3月25日 6強
新潟県中越沖地震 2007年7月16日 6強
岩手・宮城内陸地震 2008年6月14日 6強
東日本大震災 2011年3月11日
茨城県沖地震(東日本大震災の余震) 2011年3月11日 6強
長野県北部地震(東日本大震災の余震) 2011年3月12日 6強
静岡県東部地震(東日本大震災の余震) 2011年3月15日 6強
宮城県沖地震(東日本大震災の余震) 2011年4月7日 6強
熊本地震 2016年4月14日
2016年4月15日 6強
2016年4月16日
北海道胆振東部地震 2018年9月6日
山形県沖地震 2019年6月18日 6強

近い将来の発生の切迫性が指摘されている大規模地震には、南海トラフ地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震、首都直下地震、中部圏・近畿圏直下地震があります。

さて、いよいよ構造計算と壁量計算の違いについて解説していこうと思ったのですが、基礎知識のボリュームが大きくなってしまったため、次回に持ち越させて頂きます。

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